ココだけの魅力ー大井川鐵道、南アルプスあぷとライン

南アルプスの表玄関、奥大井エリアを走る大井川鐵道・井川線。
その愛称が、南アルプスあぷとライン。
大井川鐵道と言えば、本線のSLで有名ですが、井川線にも本線に負けない魅力があります。

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魅力その1・変化に富んだ景色


井川線の出発駅は海抜298mの千頭駅

駅側を流れる大井川の様子は、

こんな感じ、「なっちゃん、遠くに行ったらあかんよ!」

千頭駅を出発し、しばらくすると川や山の景色は、

25キロ先の終着駅、井川駅は海抜686m、景色は大きく変わっています。

この景色を車窓から眺めるだけでも、多くの方にとっては非日常体験となるのでは。
途中の秘境駅で降りてみるのも、井川線の楽しみ方の一つ。

魅力その2・大自然の中の構造物


「よくこんな山奥に造ったな」と感心する数々の構造物を目にします。
自然と調和しているものもあれば、“古代の遺跡”のような違和感を感じる構造物もあります。

高さ日本一の鉄道橋 関の沢橋梁

尾盛駅と閑蔵駅の間にある、関の沢橋梁(高さ70.8m 長さ114m)
列車は景色を楽しめるよう停車します。


川を挟んで画面左が静岡市葵区、右が川根本町。
更に下を覗き込むと、

残念ながら写真では伝わらない日本一の高度感覚、是非ご自身で体感を!

ダム湖にかかる美しい鉄道橋 レインボーブリッジ

奥大井湖上駅を中心に2つの橋梁からなる湖上橋、レインボーブリッジ(長さ474m)

この橋梁を渡った先が、奥大井湖上駅。列車からは全体を見渡せないのが残念。
大井川鐵道は、恋がかなう駅“奥大井恋錠駅”としてアピールしています。
恋人同士で是非どうぞ!

奥大井湖上駅やあぷと誕生のきっかけとなった長島ダム

国土交通省が管理する、2002年完成の長島ダム
重力式コンクリートダムで、堤高109m 提頂長308m。

ダム建設により水没することになった井川線・川根市代駅~川根長島駅間は、新しいルートに付け替えられました。結果として生まれたのが、レインボーブリッジ+奥大井湖上駅。
更に、新ルートに発生した急勾配区間に「あぷと」が誕生したのです(詳しくはこの後)
井川線から見る長島ダムは迫力十分、ダムマニアでなくてもかなり興奮します。
しかし、もっと気になるダムが井川線終点の井川駅にあるのです。

日本初の中空重力式コンクリートダム 井川ダム

中部電力が管理する、1957年完成の井川ダム
日本初の中空重力式コンクリートダムで、堤高103.6m 提頂長243m。
長島ダムとの違いは、建設当時に高価であったセメントを節約するため、ダム内部の約3割が空洞になっていること。
当然、外側から空洞のあるなしは分りませんが、想像しながらご覧ください。

井川湖は長島ダムの接岨湖より規模が大きいので迫力があります。
井川駅から少し歩くと井川展示館があり、井川湖を一望できます。

観光用チラシより

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魅力その3・あぷと式と90.0パーミルの急勾配


“あぷと”とは、1990年に誕生したアプト式鉄道のこと。
日本唯一、ココにしかない特別な鉄道です
長島ダム建設による路線付け替えで生じた、90.0パーミルの急勾配を走らせるために採用されました。
90.0パーミル(‰)とは、1,000m進むと90m上る勾配のこと。

アプト式の特徴は、線路の真ん中に、ラックレールと呼ばれる歯型の付いたレールが敷かれていること。

ラックレールのある鉄道を「ラック式鉄道」と呼び、この形状のラックレールを「アプト式」と言います。
つまり、ラック式アプト式鉄道・・・、ややこしい。
ここを走る機関車は、井川線特注のED90形(日立製作所水戸工場で製造)

この機関車の特徴は、前から見るととてもスリムなことと、車輪の間に大きな歯車が付いていること。
この歯車とラックレールの歯形とがガッチリ噛みあうことで、急勾配を力強く走行します。

この機関車は、ここまで走ってきた列車の最後尾に連結(見学可能)され、長島ダム駅まで後ろから押し上げてくれます。

この時の乗車感覚は独特、テンションMAX!(個人差はありますが)
職業柄、急勾配には慣れていますが、鉄道に乗りながらの斜め感と、ギアが噛み合ってダイレクトに上っていく感覚が新鮮でした。

超~超~控えめな絶叫マシン!?

帰り(下り)は、先頭に2両のED90形が連結されました。

急勾配を下るわけですが、アプトで制動をかけながら安全に下っていきます。

アプト式で90.0パーミルを体験した後は、長島ダムまで足を運んで、

90.0パーミルの急勾配を目に焼き付けてください。

井川線の楽しみ方



(駅員さん手作りしおり)

登山(山岳)鉄道の宿命と言うべきか、災害等による運転見合わせや区間運休は避けられません。
井川線も今年3月に、長く続いた運休区間(接岨峡温泉駅-井川駅間)が復旧し、全区間開通となりました。訪れるには、良い時期ではないかと。
電車で行かれる方は、エリア(大井川・井川)に応じたフリーきっぷがあるので、そちらを利用されるとお得です。
最新の情報は、大井川鐵道ホームページで確認できます。

車中泊の方は、とりあえず千頭駅まで行かれることをお勧め。
千頭駅駐車場をベースに、本線、井川線のいずれも楽しめます。
キャンプ場派の方は、こちらをご参考に奥大井キャンプ場ガイド
長島ダムへ行ったついでに、接岨峡温泉に立ち寄ることもできますし、千頭からであれば、30分ほど山の中を走ると寸又峡温泉があります。

観光用チラシより

自分が行ったのは5月と7月でしたが、秋の紅葉も美しいと聞きますので機会があればどうぞ!

「さあ、なっちゃん帰ろうか。」

(2010年5月撮影)

関連記事
ココだけの魅力-大井川鐵道、大井川本線➀⇒こちら


 

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投稿者: natsukopapa2017

動物と昭和と軽キャン好きのイラストレーターです。 林業(フォレストマネージャー)をしていたためその関係のお仕事が中心です。