たかがチェンソーと侮ることなかれ②-全員集合!

ラグビーワールドカップ2019で話題になった“ワンチーム”
ラグビーのような国籍・文化の違いこそはないにしても、様々な背景・経験を持つ人が集まる林業の現場。
ここでたびたび登場する“チーム森”を一例に、森で働く人たちをご紹介。
森さん、林さん、杉山さんの3人です。
今回は、チェンソーを操る人のお話です。

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森さん



森さんは地元生え抜きのフォレスト・リーダー(班長)です。
これまでの森さん。

親の世代が林業関係の仕事をしていても、その子供が後を継ぐケースは稀で、みな都会へと出ていきます。
そのような状況の中で、地元に残り林業に携わる若者は最強の戦力。
ほとんどの場合、自分たちのようなUターン・Iターン組とは能力において別格です。

“班長たるものこうあるべき”をつらつら述べても面白くないので、二つだけ。
簡単に言うと、“無理無駄”を省くこと

無駄を省くとは、段取り上手であること。
自然を相手にする職場ゆえ、状況の変化(天候や地形)に合わせて臨機応変な段取りを行います。
手間はかかるのに作業単価や材価は安い林業の場合、いかに無駄を省いて効率的に仕事を進めるかが重要。
「段取り八分、仕事二分」と言いますが、班長は日々、図面(等高線図)とにらめっこしながら段取りを組み立てます。

無理を省くとは、危険要素を排除して安全作業を徹底させること。
これが一番大事なこと。
残念ながら、全産業の中で林業が最も労働災害が多いのです。
“無理無駄を省く”という言葉が示すように、安全と段取りは密接にかかわっています。
班長が段取りを組む際は、効率だけでなく安全を意識します。
作業中も、ワーカーたちが無事に作業しているか気を配ります。
例えば、姿が見えなくても、それぞれのチェンソーの扱い方の癖やエンジン音の違いを聞き分け確認しています。
そのような作業音や木が倒れる様子が、安否確認の手段となります。
一日の作業を終え一同が集合するまで、気が休まることはないのです。

林さん



森班では、番頭的存在のフォレスト・ワーカーです。
実は、班をまとめていくうえで要となる重要な存在でもあります。
(一般的な経験年数で言うと5年以上のワーカーに該当)
これまでの林さん。

森さんもなんだかんだ言って林さんを頼りにしています。
段取りを一緒に考えることもしばしば。
林さんに班長としてのノウハウを教える機会でもあります。
班長が事務方との打ち合わせや現場下見などで班から離れても、安心して林さんに任せられます。

林さんも自分の意見をぶつけますが、森さんが決定したことには従います。
森さんの指示が、後輩たちに伝わるよう気を配ります。
Iターン組ですが、森さんに鍛えられ何でもこなすプロフェッショナルです。

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杉山さん



経験年数3年のフォレスト・ワーカーです。
彼女もIターン組です。
「緑の雇用」の1-3年次研修やOJTを通して、ワーカーとしての知識や技術を学んできた杉山さん。
初年度は、新人育成班で基礎を学び、2年目から森班に配属されました。
いきなり現業班に配属されると、新人も受け入れる班にとっても負担となります。
なので、初心者マークだけを集めた班をつくり、ベテラン班長やOBに基礎訓練を任せるという事業体が多い(と思う)
林業も機械化により進歩しましたが、人力分野の技術は昔の人のほうが優れています。
OBさんから学ぶことは貴重な機会となります。
ただ傾向的に・・・、言葉で説明するのが苦手・・・かも。
「ば~として、がーんや!」と言われても・・・、分からん。

森さんも、伸び盛りの杉山さんを大切に育てたいと思っているようです。
しかし一般では、チェンソーの扱いに慣れてきた2,3年目にけがしやすいともいわれています。
(恥ずかしながら、自身も10か月目に左足親指をチェンソーで切創)
杉山さんも例外なく痛い目に合われたようで、額にその傷跡が・・・・。

その話は、近いうちに。

特に先輩の林さんとは相性が良いらしく?いつも彼女をいじめているようです。
自らの経験の蓄積が技術習得には不可欠ですが、先輩から学ぶこと、先輩の経験を盗んで自分のものとすることも成長の近道です。
実は、杉山さんにとって林さんは、憧れの存在なのです。

次回は、新人フォレスト・ワーカーの加入により、いよいよ杉山さんにも後輩ができるらしい・・・、というお話です。

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