EXPO’70大阪万博Vol.14ーレインボーロープウェイ②

今回はレインボーロープウェイを運営していた近鉄さんではなく、ロープウェイそのもののお話です。
さらに、ロープウェイに割と近い存在?の林業架線へと話は脱線していき・・・・、

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複線自動循環式


レインボーロープウェイは、22台のゴンドラ(搬器)を吊り下げるための支索(50㎜)と、
ゴンドラをけん引するえい索(20㎜)分かれた複線タイプでした。

ゴンドラの動きは、スキー場のリフト(固定循環式)に近いのですが、乗り降りの仕方に大きな違いがあります。
スキーリフトは速度が一定なため、スキー初心者はたいてい乗り降りで失敗します。
秒速2mで移動するレインボーロープウェイの場合、その速度のまま定員15名(最大)が乗り降りするのは絶対無理!
なので、自動循環式のゴンドラは、駅に到着すると循環しているえい索を放して支索から離脱、ハンガーに入線します。
ハンガー区間は、ゴンドラがゆっくり移動するため、乗客は慌てることなく乗り降りができます。
その後、ゴンドラは加速しながらえい索を掴んで支索に復帰、反対側の駅へと出発していきます。

この複線自動循環式を今でも採用しているロープウェイが、
高さ日本一(61m)のロープウェイ鉄塔(支柱)で有名な、「御在所ロープウェイ」(三重県)です。

御在所ロープウェイのホームページによると、
「御在所ロープウエイを動かす「複線自動循環式」はとても貴重な設備で、日本国内では宮島ロープウエー(広島県)と御在所ロープウエイだけしか見ることができない」とのこと。

ここで紹介されている「宮島ロープウエー」と、近鉄レインボーロープウェイにはつながりがあります。
共に施工を担当したのが滋賀県の「安全索道株式会社」という会社なのです。
この会社は、大阪万博の「動く歩道」の工事にも関わっています。

交走式


一般的なロープウェイは「交走式」と呼ばれる方式で走行します。
要は、ケーブルカーと同じ“つるべ式”です。
(索張りの仕組みについては省略します)
2台のゴンドラがすれ違うように行き来する、観光地でよく見かける光景です。

安全索道さんが施工した交走式ロープウェイをいくつかご紹介。
“安全第一”だからこそ安心して乗れるロープウェイ、
過酷な環境で昔も今も運行しています。


〈伊香保ロープウェイ〉
1970年代の絵葉書より、すでに引退した昭和レトロな搬器。


〈榛名山ロープウェイ〉
1970年代の絵葉書より。
現在は、日本初の15人乗り2両連結式ゴンドラを導入(1996年)


〈新穂高ロープウェイ・第2区線〉
大阪万博の1970年に開通、1998年に日本初の2階建ゴンドラを導入。
2020年7月に新型ゴンドラが導入されます。



〈立山ロープウェイ〉
営業開始が1970年、大阪万博の年です。
画像は二代目ゴンドラ、2012年に新型に更新されました。

「立山ロープウェイ」はワンスパンロープウェイとしては、日本一の長さ(約1.7㎞)です。
「黒部平駅」と「大観峰駅」の間に“支柱”が一本もありません(雪崩多発地帯のため)

本来、支えのないロングスパンの支索は、ゴンドラの移動に伴い大きくたわみます。
そのため立山ロープウェイでは、「黒部平駅」側のワイヤーに85tのおもり(重すい)を取り付け、ワイヤーがたわまないようテンションを掛けています。

とはいえ、立山ロープウェイに限らず全てのロープウェイのワイヤーが、
だらしなく?“たるんでいる”のがどうも気になっていまして・・・。

林業でワイヤーのたるみ(たわみ)を理解


人は“たるんでいる”と叱られますが、ワイヤーロープには“たるみ”が必要です。
林業の資格に「林業架線作業主任者」というものがあります。
架線により木材を搬出するための技術で、人(命)を運ぶロープウェイとは目的・用途が異なりますが、共通する部分も数多くあります。
ロープウェイの複線自動循環式や交走式などは、かつて林業で行われていた「運材索道」とほぼ同じです。
集材機を使用した「機械集材」の場合、荷の吊り上げ降ろしを行う“クレーン機能”が備わるため、ロープウェイとは“別もの”感が強くなります。

ロープウェイと同様、林業架線でも最優先は“安全”です。
ロープウェイでは支索と呼ばれた索は、林業では主索と呼びます。
資格取得の講習・実技では、主索の“たるみ”の重要性を学びます。
適当感ありありのあのだらっとしたワイヤーのたるみ・・・、
実は、ややこしい設計計算を繰り返した結果ゆえなのです。

専門用語では、たるみ(たわみ)のことを垂下量と言います。
垂下量を元に索の緊張度を表す中央垂下比、原索中央垂下比を導き出します。
この値を元に、どれだけの張力に耐えられるのか様々な設計計算が行われます。
設計に基づいた架設方法、設計通り架設されたかの検定方法などを学びます。

索の見た目のだらっと感の裏側にはち密な計算があり、結果、安全が確保されていたのでした。

次回は、大阪万博で活躍したモノレールです。

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