たかがモノレールと侮ることなかれー林業モノレール

都市交通として整備されるモノレールですが、工事現場・農地・山林などで活躍する産業モノレールもあります。
今回は、林業モノレールを“チーム森”がご紹介いたします。

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林業モノレール


人工林伐採後の再造林作業には、地拵え・シカよけ網の設置・植栽・年2回の下刈り・除伐・枝打ちなどがあります。
林地が林道から遠いとか面積が広大である場合に、網の資材や植栽苗の運搬、フレストワーカーの足としてモノレールを設置することがあります。
下刈りが終了する5年後~10年あたりで撤去するケースもあります。
木が成長すると、林地に入る機会も減りますし、伐倒の際にはレールが邪魔になります。

運転手は桧山さん


今回のモデルは、愛媛県にある「(株)光栄産業」という会社のKS-302という動力車です。
ディーゼルエンジンを搭載しています。
最大45度の登坂能力があり、その角度で最大積載量500Kg(連結台車含む)のけん引能力があります。

秘密は、レールの底の穴と動力車の突起輪がガッチリかみ合って進む駆動方式にあります(図のイ)
一般のモノレールのレールに比べると頼りなく見えますが、最大で700Kg近い重量がかかっても安定して走行できます。

運転するのは、新人の桧山さん。
この手の運転操作は、たいてい新人さんがこなします。
操作はいたってシンプル、
エンジンを始動し、
レールと突起輪の摩耗を防ぐための潤滑オイルが入ったタンク(図のロ)のコックを開放、
前進/後進、低速/高速をセレクトしてスロットルレバー(図のハ)を引くだけです。
桧山さんの役割は、前方確認。
前日は問題なく通過できても今日はレール下の土砂が崩れていたり、倒木があったりと状況が変わっているかもしれないのです。
桧山さんが乗っている一人用乗用台車は、足元のハンドル(図のニ)でシートの角度を調整できるので、林業のような急こう配運転では便利です。

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林さんは運転操作をアドバイス


桧山さんの運転をサポートするのは、チーム森のNo.2の林さんです。
操作は簡単ですが、注意点もいくつか。
そのひとつは、坂道発進
なるべく急こう配での停車は避けますが、やむを得ないときもあります。
再発進の際に、いつもの感覚でスロットルレバーを引くと・・・、
半クラッチに失敗した自動車のように、車両が急激に後退します。
なにせ、こう配45度(最大)ですから・・・、後退すると“怖い”です。
林さんのアドバイスは、
「いっきにスロットルレバー(図のハ)を引かずに、二段階操作をするように」というもの。
当たりを感じるまで軽くレバーを引きエンジンの回転を上げてから、レバーを最後まで引くという操作をします。
KS-302は遠心クラッチという仕組みなので、エンジンの回転を上げて半クラッチ状態にしてから発進すると安全です。

もうひとつは、走行中は手足を出すな!ということ。
このモノレールは、レールにストッパーを設置するとその位置で自動停止します(図のホ)
無人運転で回送・運搬できるので便利な装備なのですが、レール付近に生える草木や枯れ枝に接触しても作動してしまいます。
桧山さんは、気を利かして足元の障害物をどけようとしますが、林さんに叱られます。
走行中に手足を出して、駆動輪とレールに挟まれ大けがした人を知っているようです。
絶対安全な乗り物などありませんが、産業用機械は過酷な環境で運転されるため、より一層の注意が必要です。

状況対応は杉山さんの役割


前方に何か障害物を発見しても、桧山さんは運転台車にとどまり次の操作に備えます。
実際に対応するのは、切り込み隊長の杉山さんです。
状況を確認し一人でやっつけるか、無理なら森さん・林さんに報告・相談です。
ちなみに、客車は地上から高さがあるので乗り降りは結構大変(特に山林)
降りるときはジャンプ、乗り込む際はレール傍の切り株(図のヘ)などを足場にします。

リーダーは車掌役


全体を把握するためか、たいていのリーダーはこの席に座ります。
その日の段取りを考えながら前方の様子をうかがいます。
帰りの便もたいてい同じ席です。
今度はバックで下るため、森さん側が先頭になり進路を確認します。
モノレールはエンジンブレーキがかかった状態で「ガーガー」とけたたましい音を立てて下っていきます。
無事、みなで仕事を終え戻る時が、森さんのホッできるひと時。
動力車のうるさいエンジン音も心地よく聞こえる・・・、そうです。
「ねえ、週末みんなでキャンプ行こうよ」
この唐突な森さんのお誘いが、次回のお話へと続きます。

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