16年前、ある日突然いなくなったネコと、最近出会った子ネコの話です。ネコの帰巣本能について考えるきっかけになりました。
動物の帰巣本能
時に驚くべき帰巣本能を発揮し、とんでもない距離を移動して飼い主の元に戻ってきたというワンコやニャンコの話を聞きます。しかし、迷子になり“探してます”の張り紙をよく目にすることから、ごく稀な話であると言えます。
過去わたしたちも、スーパーやコンビニに張り紙をしてニャンコを探してもらったことがあります。名前はミュウ(3代目)。いなくなった当時、遠方から工事に来ていた業者の車に勝手に乗り込んでそのまま行ってしまったのでは?という疑いもあったので、業者を調べて探しに行くこともしました。当然、見つからない。
いなくなって2週間が経ち諦めかけたころ、ひょいと帰ってきました。工事業者の元から帰ってきたとすれば、その距離直線で約100㎞。
事の真相は
近所の話によると、よそのお宅の倉庫に閉じ込められていたそうです。もちろん近所はかなり探しましたが、灯台下暗しです。少し痩せて帰ってきましたが、基本元気でした。とにかく帰ってきてよかった。
(この子は約2年後、夏子さんが来た2002年に交通事故で亡くなりました)
時は流れ、2016年7月
去年の7月頃、子猫が2匹突然やってきました。
近所に捨てられたのでしょう、うちのニャンコがバルコニーから叫ぶ声に釣られてやってきたようです。
すでに3匹のニャンコ(元野良ネコのトム・ジェリー・梅雨子)と夏子さんのいる我が家に、2匹のニャンコを新たに迎え入れる余裕はありません。しばらく無視(というか様子見)
可哀そうですが、やがて1匹しか来なくなりました。
残った1匹は女の子でしたが、人慣れせず興味があるのは猫に対してだけ。山に囲まれ餌があるのか(ネズミ?モグラ?虫?)子猫は丸々とした良い体格をしています。
しかし、不憫に思いデッキに餌を置いておくことに。
こうなると後の展開は目に見えています、家の中にも入り込み先輩ニャンコたちや夏子さんとも仲良しに。
やがて夏子さんが弱っていき、子猫には注意を向ける余裕もなく時間が経過、気が付くと体もかなり大きくなっていました。
2017年1月14日
夏子さんとの別れの日を迎え、わたしたちが悲しむ最中、ニャンコたちは特に別れを惜しむ様子もなくいつも通りの生活。
この頃から子猫は落ち着きがなく騒がしくなっていました。日中はほとんど外で暮らし、夜帰ってきても夜中にまた出入りする、その度に起こされます。
その週末、ようやく気付きます、“さかり”ではないか?と(今年は全体的に猫のさかりが早いらしい)
何かの縁とあきらめ、避妊手術を受けることを決め、名前は“ニャン”と(それまでそう呼んでいたから)
しかし、21日土曜日の晩、ニャンが頻繁に出入りを繰り返し、家の中もむちゃくちゃにする-まだ夏子さんとの別れから立ち直れないわたしは苛立ち、日曜の早朝、ニャンを車で10分弱の距離、民家が近くにない場所に連れていきそこで解放しました。ニャンは驚いた様子でしたが、振り返らず山の中に消えていきました。
直後に後悔の念
ほとんど山で暮らしていた子なので大丈夫と思っても、捨てたことに変わりはなく、すぐに後悔しました。
翌日の夕方に、あの場所に戻って探しましたが、当然見つかりません。
1月24日午前0時30分
床について間もなく、2階のバルコニー側の窓をひっかくいつもの音が。
夢か?
ニャンのおかげでバルコニーの壁はボロボロ、でもいないとそれなりに寂しい。
すると「ニャー」と枯れた小さな声、夢じゃない!
慌ててドアを開けると、そこにはニャンが。
夜中に目が覚めた妻も一瞬夢だと思ったようですが、「あんた何でここにいるの?」と驚いていました。
現在、
避妊手術も終え、あと数日で抜糸です。さかりもほぼ収まりましたが、基本若いので家中走り回っております。老描たちも付き合わされ大変ですが、刺激を受け少し若返ったようです。
帰巣本能?
人は山で迷うと、標高の低い方へ下るのが自然です。谷筋か尾根筋に沿って下っていきます。
しかしニャンは、36時間かけて登ってきました。放された山を進めば家とは真逆の方向に行くはずなのに、なぜか戻って来ました。
どの経路をたどって帰ってきたのか、見当がつきません。かかった時間からすると、迷いながら徐々にたどり着いたに違いありません。
ニャンがどんな方法で戻ってきたのかは分かりませんが、戻ってきた理由はなんとなく分かります。
トムとジェリーは兄弟ですが、その妹(娘?)のように振舞っています。
孤独を愛するつーちゃん(梅雨子)とは仲が良いのか悪いのかよく分かりません。が、しょっちゅう二人で走り回っています。時々、つーちゃんが本気で怒ってますが、ニャンにはそれが分かっていないようです。ニャンは、このネコ仲間を失いたくなかったようです。
そう考えると、ニャンには悪いことをしたと、深く反省しています。
更に、生まれて半年足らずの子猫でも強い仲間意識を持ち、離れたら元に戻ろうと必死になり、生来の帰巣本能を発揮するのだと考えさせられました。