嫁は貸しても砥石は貸すな(補足編)

本編では、「刃物」の手入れを怠ると事故やケガにつながる、だから「砥石は大切に扱うべし」という内容でした。
補足編は、先の尖った道具類についてのお話。
今回も、森さんが登場。

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刺し針


林業は、山から木を出すために、ワイヤーロープを大量に使う仕事です(架線集材)


そこで、森さんの左手にある「刺し針」が必要になります。
「T型」もあります。「針」と言うだけあって、先が尖っています。

シノという道具に似ていますが、用途が異なるので、反り方が逆です。
番線(太い針金)をすくい上げる「シノ」と、ワイヤーロープを刺す「刺し針」の違いです。

なぜ、ワイヤーロープに“刺す”のか?
ワイヤーロープの“より”をほどいて編み込むためです。そのため、「刺し針」には「シノ」にはない“溝”が付いています。

この溝を利用して、ワイヤーロープを編み込むと、

ワイヤーロープの端っこに「アイスプライス」という“輪っか”を作ることができます。
この“輪っか”がなければ、ワイヤーロープの使い道はほぼありません。繊維ロープでも同様です。

“輪っか”があるからこそ、引っ掛けたり、荷物を吊り上げるための「フック」を取り付けることができるのです。

編み込まずに、金物で“かしめる”方法(画像下側)もありますが、強度が低いこと、ワイヤーロープが重い荷物の下敷きになると、引き抜くのに金物が引っかかって取れなくなることがるのであまり好まれません。

ワイヤーロープをつなぎ合わせることができます。
林業では、ワイヤーロープを何百、何千メートルの単位で使用します。
そのため、つなぎ合わせたり、切った(切れた)個所をつなぎ直すことが日常的に必要です。

片道約1000mの距離、ワイヤーロープは往復以上の長さ2000m以上。

もちろん、硬いワイヤーロープを編むことは容易ではありません。編み方もいろいろ複雑で、覚えるのが大変。
ワイヤーの種類や太さによりますが、相当、力のいる作業です。
「刺し針」の先がよく手入れされていないと、力が入り過ぎて自分自身を“刺す”ことも(痛い)
時々、平ヤスリなどで「丸過ぎず、鋭過ぎず」程度に整えます。

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ト ビ


森さんが右手に持つ長柄付きの道具、トビ。
消防が火事場で使うこともあります。
林業では、チェンソーで玉切った(規定の長さに切った)材を移動させるときに使用
玉切ったとはいえ、重い材を持ち上げて運ぶのはえらいので、トビを材に突き刺し“引きずる”、“転がす”などして運びます。
機械化が進み、林内では利用する機会は少なくなりました。
ユニックやクレーンによるトラックへの積み込みでは、必要な道具です。

扱いは、一見簡単そう見えて意外と難しいです
狙った場所に正確に打ち込むことがまず難しい。
てこの原理などを上手に利用しないと、簡単に柄が折れる。
材と地面との接地抵抗を減らす工夫をしながら使わないと、使いこなせません。

先端部が摩耗し打ち込みが鈍くなると、体重をかけた状態ですっぽ抜けたりするので大変危険急傾斜地やトラックの荷台から転落して、亡くなる人も。

トビの手入れは、簡単に済まそうと思えば、グラインダーや平ヤスリで先端を「研ぐ」ですが、本来は、鍛冶屋のように打ち直して形を整えるもの。
「研ぐ」だけでは、刺さりが悪く、結果抜けやすいと言います。
トビは、使い方、手入れの方法共に、奥が深い道具です

リフティングフック


森さんが左腰にぶら下げている道具、北欧スウェーデン製。
本来は、専用ホルダーに入れて持ち運ぶ。

「トビ」のハンディータイプ。
ハンディーゆえ、玉切りながら材を整理する程度に使うと便利。腰を深く曲げずに、楽に材を取り上げることができます。
トビに比べると、扱いも管理もかんたん。
山林で携帯すると、失くしやすいのが難点です。頭でっかちでバランスが悪いので、ホルダーから抜け落ちやすいのです。これだけ目立つ色でも、枝葉の間に入り込むとまず見つかりません。
同じく失くしやすく、失くすと困る道具が、

プラグレンチ


森さんの右腰にある、「プラグレンチ」

このプラグレンチ、1本4役です。

その名の通りプラグの点検交換。エンジンがかからないときに、プラグを外して点検、または交換する時に使うものです。

チェンソーサイドカバーのボルトレンチ。以外かもしれませんが、ソーチェーンはガイドバーからしょっちゅう外れます。レンチがないとサイドカバーのボルトを外せないのでソーチェーンは脱線したまま、仕事になりません。

マイナスドライバー。ソーチェーンが外れないよう張りを調節したり、防振ゴムの交換時に使用。エンジンのアイドリング調整なども。

刈払い機のディスク(チップソーなど)の着脱用ボルトレンチ

このようにチェンソーや刈払い機使用時には欠かせない道具。
逆に、しょっちゅう使うため失くしやすい道具でもあります。
画像のように、カラビナで腰ベルトに装着するのが取り出しやすく失くさない-5.6本失くした末に至った方法です。

おさらいに


森さんの尖がりが気になりますが、今回はここまで。
林業における先の尖った道具類のお話でした。

森さんの尖りの原因が、どうしても気になる方は次の記事へ。

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