去る10月3日、大阪環状線を48年間走り続けた「103系」が現役を引退しました。
大阪市中心部をループし続けて約半世紀、お疲れさまでした。
大阪環状線とは?
ザックリ言うと、一週21.7Kmの路線で駅数は19。
関西人が昔からお世話になっている重要路線ですが、あまりイメージは良くなかった。古臭く、汚い・・・(-_-;)
良いイメージと言えば、弁天町駅高架下にあった交通科学博物館ぐらい?
リニアモーターカーの「ML-500」が印象的だった。
だった? そう、京都鉄道博物館の開館に伴い2014年に閉館となりました。
しかし、2013年にスタートした「大阪環状線改造プロジェクト」により、イメージが大きく改善。
「明るい、きれい、分かりやすいい」駅を目指して改装したり、103系の形をしたビエラ玉造のような商業施設を整え駅周辺の魅力を高めたり。
結果、これまで縁がなかった、グルメや観光にも一役買う路線に。
海外からの観光客の人気も後押しして、大阪城や通天閣などが再人気スポットに。もちろん、USJやあべのハルカスも人気。
加えて、19駅それぞれの発車メロディーやシンボルフラワーを設定して雰囲気も明るくなりましたね。
古き良き昭和を残しつつ、新しい環状線に生まれ変わればと良いなと、一個人としては思います。
103系とは?
大阪環状線改造プロジェクトの一環としてデビューした新型車両「323系」
結果として、老朽化が進む103系が引退することになったのです。
(京都鉄道博物館にて)
今から48年前の昭和44年(1969)に環状線に導入された103系、ボディーカラーの「バーミリオンオレンジ」が、“古臭く汚い”時代の中でイメージアップに貢献してきたことは否めません。環状線の歴史を刻んできた103系も、後輩の323系に道を譲ることに。
昭和44年:アポロ11号が人類初の月面着陸成功「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」の年
更に、103系と新型323系の大きな違いは、一つの車両に設けられているドアの数。
103系が4つ(大量輸送時代の名残)対して、323系は設置が進むホームドアに対応して3つ。
この違いが、103系の引退に追い打ちをかけました。安全性向上のためとなれば、致し方ありません。
同じ理由で、2005年に環状線に導入されたオレンジ「201系」も、来年度に引退予定です
オレンジ色の電車を見られるのもあとわずかです。
関西では、奈良線などで、まだ現役の103系を見られますが。
クハ103-843号車
環状線ラストランを飾った先頭車両(クハ103-843)は、京橋駅で営業運転を終え、方向幕を“回送”に切り替え車庫へと戻っていきました。
この車両、昭和56年(1981)3月に川崎重工業で誕生したそうです(資料はレイルラボを参照させて頂きました)
因みに、クハの“ク”は、“運転台がある車両”を表わし、“ハ”は“普通車”を表わすもの。
クハ103-843は、来月の3日から6日まで、京都鉄道博物館の本館1階「車両のしくみ/車両工場」エリアに展示される予定です。これが最後のお別れとなるようです。
大阪環状線だけではない103系
103系自体は、昭和38年(1963)から昭和59年(1984)までの21年間で3,447両も製造され、通勤電車として主に都市圏で活躍しました。
車体色はオレンジだけでなく、ウグイス色やカナリア色、スカイブルー、エメラルドグリーンなど個性豊か。ただ、子供ながらに、地味な車体+派手な色に、アンバランス感を覚えた記憶が?
昭和54年ごろから、老朽廃車が始まった様子で、2000年ごろには名古屋圏で全滅するも首都圏や関西圏では主力車両であり、地方で活躍するため、ローカル路線に転勤する車両も。
子供にも愛された103系
3日夕方のニュースでは、ホームでこの車両を見送りながら涙する幼い男の子の姿が・・・。
昭和の鉄ガキは、ブルートレインや特急車両に夢中で、103系に見向きもしなかった。
対して平成の子供たちは、“カッコいい”新幹線がより取り見取りのこの時代にあっても、最終的には通勤型電車に行きつくことも多いらしく・・・見た目より本質重視、マニアックで奥深い。
確かに、最近の通勤型車両は“カッコいい”
でも、新型323系のようなステンレス車が多くなり、103系のような色鮮やかな車両が減りつつあるのは、やはり寂しいですね。
さよなら
モデルの久羽さんの制服は、JR西日本の女性駅員用(2017年3月まで)を103系にアレンジしたもの。
4月のリニューアル後、スカートは廃止されズボンに統一されました。
元々は、
こんな感じでした。
車両も制服も時代と共に変化し、より良く進化していくものですが・・・、
古いものも捨てがたいですね。
さよなら、103系。
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