軽い身のこなしで建物の鉄骨を組み上げ、足場の組立・解体を行う鳶職人。
高層建築の要ですね。
電気工事士や塗装工、高層建築物の保守点検・清掃業なども高所作業を伴う職業。
今回は、危険と隣り合わせの高所作業において作業者の命を守る大切な道具、
「安全帯」のお話です。
(追記:法律の改正により「フルハーネス型安全帯(新規格)」着用が義務化されました。「胴ベルト安全帯」は6.75m以下でしか使えなくなりました。柱上用安全帯も単体では安全帯として使用できなくなりました―2022年1月2日より)
安全帯の基本構造
建設業では平成28年度、135人の方が労働中の墜落・転落事故で亡くなっています(建設業労働災害防止協会資料より)
毎年、同じくらいの墜落による死亡災害が発生しているようです。
建設業界は労働者数が多いとはいえ・・・、残念な数字です。
事故を無くすためには、職場全体の取り組みが必要ですが、個々の作業者としては「安全帯」で自分の身を守るしかありません。
安全帯とは、体に装着する「ベルト」と、
ベルトに取り付ける「ランヤード」からなる“命綱”です。
(補助ベルトが行方不明で・・・、完全な状態の安全帯ではありません、すいません)
ランヤードの先端には、用途に応じたフックが付いています。フックを安全ロープや足場に固定して安全を確保します。
安全帯は転落時の“最低限の保険”から、“最大限の保障”のような進歩を遂げています。
安全帯の種類
胴ベルト型安全帯
胴ベルト+ランヤードのベーシックタイプ、一昔前の主流。
命は守られますが、落下の衝撃で腰や背中、内臓を傷める点で✖
この問題を解消するために、衝撃を吸収する“ショックアブソーバー付き”ランヤードが登場。
(一例として)
赤い部品が、ランヤードの伸縮調節機能とショックアブソーバー機能を兼ね備えています。
ハーネス型安全帯
ハーネス+ショックアブソーバー付きランヤード
(一例として)
最近、高層建築の現場でよく見かけるタイプ。
自分は“転落しない”ではなく“転落する”を前提とした完全装備。
墜落時の衝撃が身体全体に分散すること、身体がベルトから抜け落ちることが無いという点で、胴ベルト型より◯
見た目はたいそうですが、慣れると胴ベルト型より違和感を感じないかも?
ただトイレがしにくいような( ^ω^)・・・。
ダブルランヤードは、フックの架け替え時の事故防止にもなり◯
(胴ベルト型にもダブルランヤード式あり)
柱上用安全帯
U字吊り専用とも言い、電気工事や林業で使用する安全帯。
ベルトには、ランヤードを連結する角環と、フックを固定するD環が付属。
柱上用ランヤードには、長さを調節するための伸縮調節器が必要。
胴ベルト型やハーネス型との違いは、墜落に備えるだけでなく、体を委ねて作業中の体勢を確保するために使用すること。おかげで、両手を使って作業できます。
安全帯を使用した電柱作業は街中でもたまに目にしますが、林業ではどのような時に使用するのか?
集材架線の架設・撤去
枝打ちや支障木伐採
林業の特殊性は、刃物を扱うこと。
刃物が当たっても切れないよう、林業専用ランヤードにはワイヤ芯入りロープが使用されています。
セーフティーファースト(安全第一)
今年の流行語にもノミネートされた◯◯ファースト。
労働環境においては、安全ファースト。
しかし、人手不足や経験不足により労働災害が増えつつあるようです。
工事現場の足場から“電動工具が落ちて通行人に当たった”という事故もよく耳にします。高所作業においては、下にいる人の安全にも気を配らねば。自分は“落とさない”ではなく“落とす”を前提とした対策が必要!
命を守るためには、あらゆる可能性を“想定すべき”時代に(防災の分野でも)
安全帯を含め安全装備は改良されてきたので、正しく活用して事故を無くしましょう(実際は、口で言うほど簡単ではないが、願いを込めて)
では、
ゼロ災でいこう、ヨシ!
ご安全に!
おまけ
犬の首輪も首ベルト型からハーネス型へと進化。
伸縮調節機能付きリードも普及。
安全帯と同様?の進歩が見られますが、犬のハーネスはハーネス型安全帯と異なり、意外と抜けやすいです(形状にもよりますが)
こまめに体格の変化に合わせて調節しておかないと、散歩の途中で“脱走”されます。
特に家族以外の人に散歩を依頼する際はご注意を!
数年前、大晦日の夜に親族に連れられ散歩に出た夏子さん、途中でハーネスをすり抜け大脱走。
本人(犬)は、一目散に家(帰省先の実家)に戻ってきていた!のでしたが(;´д`)・・・、知らずに紅白そっちのけでの大捜索。
えらい目にあいました。
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