昭和と平成の時代をまたいで1,056両製造された100系新幹線。
国鉄からJRに受け継がれ、開発・製造された車両でもある100系。
バブル時代を経験し、
「シンデレラ・エクスプレス」
「クリスマス・エクスプレス」と呼ばれたトレンディな新幹線100系。
時代の変化を経験した、100系新幹線のお話です。
「シンデレラ・エクスプレス」
民営化直後の1987年(昭和62年)に、JR東海が制作したテレビCM。
その時代背景をあらわしたジオラマがリニア・鉄道館にありました(常設展示かは不明)
タイトルは「日曜日、最終新大阪行の東京駅ホーム」
すでに100系新幹線が駅ホームに入線。
案内板には「ひかり289号」発車時間は21時00分と表示。
時計の針は、発車5分前。
ホームで単身赴任の父親を見送る家族と、
転勤で遠距離恋愛となった若いカップルの様子かな?
スマホもネットもない時代。
度々連絡を取り合うことが難しかった時代。
「24時間戦えますか」の時代。
次はいつ会えるのか?次の週末?来月?
新幹線は、遠く離れて互いを思いあう人たちの間のエクスプレスである、というコンセプトで生まれたCMが「シンデレラ・エクスプレス」でした。
(リニア・鉄道館2F展示)
この、“遠距離恋愛”をテーマにしたエクスプレスCMは、この後シリーズ化されます。
「ホームタウン・エクスプレス クリスマス編」
1988年に放送されたCM(昭和、最後のクリスマス)
本来は、ホームタウン、つまり故郷に列車で戻って、都会の疲れを癒そうというシリーズだったそうです。
そのシリーズの“クリスマス編”という位置付けになります。
主人公は、深津絵里さん。
曲は、シリーズを通して山下達郎さんの「クリスマス・イヴ」
キャッチフレーズは、
「帰ってくるあなたが最高のプレゼント」
最後にホームから去っていく100系新幹線。
このCMのイメージが、後々の日本のクリスマスに大きな影響を与えたのではないでしょうか・・・。
「クリスマス・エクスプレス’89」
1989年、平成になって最初のクリスマス。
後に続く「クリスマス・エクスプレス」シリーズ第1作になります。
主人公は、牧瀬里穂さんに。
キャッチフレーズは、
「ジングルベルを鳴らすのは帰ってくるあなたです」
最後は、やはり去っていく新幹線100系。
以降の作品では、時代を反映して携帯電話も登場します。
携帯電話は、CMのテーマである“遠距離恋愛”事情を大きく変えていきます。
また、待つ側だった女性が、自ら新幹線に乗って彼に会いに行く、といったストーリー変化も時代の流れでしょうか。
時代の流れは、使用される新幹線にもあらわれ、
1992年デビューの300系が、シンデレラ・エクスプレスに、
1999年デビューの700系が、クリスマス・エクスプレスに登場します。
JR東海の100系は、2003年に引退しています(JR西日本は2012年)
1992年に一旦終了した本シリーズでしたが、2000年にクリスマス・エクスプレスが復活。
今のところ、それが最後。
そのCMに登場した700系も、2019年度での引退が決まっています。
ただ、クリスマス・シリーズの達郎さんの「クリスマス・イヴ」は、時が経っても色あせない!
また主役のお二人も、現在でも第一線で活躍されています!
「リニア・鉄道館」
CMを制作したJR東海が運営する鉄道博物館です。
お目当ての100系新幹線は、仲間の新幹線と共に展示されています。
(手前から700系・300系・100系・0系)
シャークノーズ形状の先頭車(100系123形式1号車)
見た目、いかにも速そうな車両に見えますが、最高運転速度は初代0系と同じ220Km/h。
速度より、居住性改善を重視した車両だったそうです。
この先頭車両は、量産車のトップナンバーです。
国鉄時代の1986年(昭和61年)に製造されました。
車内の様子も見学できます。
初めて採用された、情報案内用の車内スクロール。
先頭車後方には、100系新幹線で初めて採用された2階建て車両が、連結された状態で展示されています。
この車両は、食堂車です(100系168形式9001号車)
量産前の試作車として製造された車両。
食堂車については、こちらで。
⇒昭和の列車に会いに行こうー新幹線食堂車
「京都鉄道博物館」
こちらはJR西日本が運営する鉄道博物館。
100系新幹線はどこにあるかというと・・・、
ちょっと奥まったところにあり、リニア・鉄道館の展示の仕方とはかなり異なります。
本来、エクスプレス・シリーズCMとは関係のないJR西日本ですが、
CMの雰囲気に近いのはこちらかもしれません。
照明の落とし具合、間接照明の当て方で、シンデレラ・エクスプレス感を演出?
近くに、「ガラスの靴」が落ちているかも?
この100系は、平成元年に製造された車両とのこと。
残念ながら、車内の見学はできませんでしたので、車外の様子を。
「平成」から「令和」へ
いろいろな意味で、時代の変化を象徴した100系新幹線。
携帯電話が普及するまで、遠く離れた人の想いをつないだ「シンデレラ・エクスプレス」
「平成」が終わり「令和」を向かえるこの時期に会いに行くのは如何かと。
100系そのものを懐かしむなら、2階建て車両もそろえた「リニア・鉄道館」
CMの雰囲気を懐かしむなら、「京都鉄道博物館」
もちろん、
未来のリニアに特化した「リニア・鉄道館」、
昭和のSLに特化した「京都鉄道博物館」、どちらもお勧めの鉄道博物館です。