長年、慣れ親しんだ鉄道車両も、老朽化が進むと、残念ながら自動車と同じく解体されスクラップに。
ごく一部のエリート車両が、博物館などで保存され、解体を免れます。
ところが、博物館のスペースには限りがあるため、新たに保存車両が加わると、いずれかの車両が博物館を追い出されることに。
たいていの場合、その先に待ち受けるのは・・・、解体処分。
今回は、「リニア・鉄道館」に保存されている(いた)不憫な「381系電車」のお話です。
リニア・鉄道館
名古屋の金城ふ頭にある、「リニア・鉄道館」(JR東海)
「京都鉄道博物館」(JR西日本)と比べると、こじんまりとした鉄道博物館です。
小さいお子さん連れには、ちょうどいい規模かと。
車両の内部(車内)を見学できるのも〇(京都はごく一部の車両のみ)
1Fの車両配置図
(館内配布のパンフレットより)
その名の通り、ここだけのリニアモーターカー(MLX01-1)の展示や、
JR東海ならではの、歴代東海道新幹線(6形式)が一堂に会する様子は、一見の価値あり。
さらにJR東海は、2019年7月17日(水)より、7形式目となる「N700系量産先行試作車」3両を、新たに展示すると発表しました。
展示場所は、館内の“新幹線エリア”ではなく、“場外展示場”
今ある117系と入れ替えられます。
N700系に場所を譲った117系は、1両だけ館内の“収蔵車両エリア”に移動。
その117系との入れ替えで、結果的に博物館から追い出される?のが・・・、
特急「しなの」の先頭パノラマグリーン車として使用された、
クロ381系11号車です。
この気の毒な車両には、二つの大きな特徴があります。
ひとつは、中間車から先頭車にモデル&ポジションチェンジしたこと。
ふたつ目は、国鉄営業車両初めての“振り子式”電車だったことです。
モデル&ポジションチェンジ
特急「しなの」として381系がデビューしたのは1973年(昭和48年)のこと。
翌年の1974年(昭和49年)に、グリーン車として製造されたサロ381は、
1988年(昭和63年)に、見た目も中身も一変するほどの大改造を受けます。
生まれ変わったクロ381は、長野寄り先頭に連結。
景色を楽しみながら、快適に移動できるパノラマ車として、特急「しなの」の魅力アップに貢献しました。
「振り子式」特急車両
自転車やバイクでカーブを曲がるときのように、車両をカーブ内側に傾ける「振り子式」電車。
山間部の急カーブの多い区間でも、なるべくスピードを落とさずに走行できるよう考案されました。
残念ながらクロ381は、収蔵車両エリアにあるため、普段は先頭部分しか見られません。
でも、同じ構造の車両が、ここリニア・鉄道館にあります。
それが、クハ381です。
こちらが、本来の381系の先頭車、1973年(昭和48年)にデビューしたトップナンバー(1号車)です。
隅に追いやられたクロ381では、よく分からなかった振り子式電車の特徴が、クハ381を見るとよく分かります。
それは、重心が低い位置に来るよう、床を低くしてあること。
床下にあるはずの配線機器(ジャンパ)が、低床ゆえ車両連結器より上に設置されています。
本来、ルーフ上に設置される空調機器も、低重心化のため床下に設置されています。
(何もないスッキリしたルーフ)
さらに注目すべきは、
車体にかかる遠心力で自然に車体が傾く「自然振り子装置」だとか。
以外と古典的?!な装置・・・。
現在採用されている振り子式は、もっと進歩しているそうです。
ついでに車内も見学。
さよなら、クロ381
クハ381に後を託して、6月7日限りで展示を終了し、リニア・鉄道館を去っていくクロ381。
クハ381が残っているとしても、やはりクロ381の処分は( ;∀;)
個人的には、レトロフューチャーデザインで洋梨体型?のクロ381が好きだったので、残念です。
今回と似たようなことが、300系新幹線でもありましたね。
2013年に700系新幹線との入れ替えで、量産型300系が博物館を去りました。
保存には場所もお金もかかるので、「残して」と好き勝手は言えないが・・・、
やはり( ;∀;)
スモールライト(ドラえもん)さえあれば・・・、問題解決?現実逃避?