大阪万博で導入されたモノレールは、日本で初めての「こざ(誇座)式」だったとTVで取り上げられました。
しかし、子供のころ東京で乗った「東京モノレール」もこざ式で、しかもこっちの方が古かったのでは?
疑問に思い、調べてみたところ・・・、
万博・東京モノレールともにこざ(誇座)式
誇座、跨【またが】って座る・・・、
過去画像にぴったりのものがありました。
こざ式の場合、車両はレールの上をまたいで走行します。
(expo’70パビリオンにて)
当時の公式資料によると、4両1編成で6本(24両)全体で1時間当たり約26,000人の輸送能力(計画)があったそうです。
最高速度は、50Km/hでした。
会場の外周を反時計回りに自動運行、単線環状線でした。
大阪万博は1970年(昭和45年)、東京モノレールの開業は1964年(昭和39年)
こざ式モノレールとしては、東京モノレールの方が先輩のはずですが・・・、
こざ式にはいろいろ種類があるようで
同じこざ式モノレールでも、東京モノレールは「アルヴェーグ式」
一方の万博モノレールは、アルヴェーグ式をベースに独自に開発した「日本こざ式」とのこと。
ともに走行には、ゴムタイヤを使用します。
万博以降、日本で建設されたこざ式モノレールは、日本こざ式が標準となっているそうです。
万博モノレールは“日本こざ式”を確立しその先駆けとなりました。
ところで、アルヴェーグ式と、そこから派生した日本こざ式モノレールとでは、どこがどう違うのでしょうか?
簡単に言うと・・・、
高速走行を優先するアルヴェーグ式。
使い勝手を優先する日本こざ式、みたいな感じでしょうか?
このあたりの試行錯誤は、過去自動車(特に商用車バン・トラック)でも行われてきました。
後の「マツダ・ボンゴ」で扱いますので・・・。
アルヴェーグ式の東京モノレールの最高速度は80Km/h。
日本こざ式の万博モノレールは50Km/h。
高速仕様のアルヴェーグ式は、車両の重心を下げるため走行台車が車内中央に張り出しています。
自動車で言えば、タイヤハウスです。
このタイヤハウスのように盛り上がった高床部に座席が設置されています。
なので、座ると王様気分!
日本こざ式は、この車内中央の出っ張りをなくしました。
走行台車を床下に収めた結果、足回りが深くなるとともに、重心は高くなりました。
足回りの深さを実感するのは駅ホームからレールをのぞき込んだ時。
底までかなりの深さ(高さ)になり、落ちると正味“ヤバい”です。
重心が高くなった結果、最高速度は落ちました。
しかし、日本こざ式最大のメリットは、車内がフラットであり座席配置もノーマル。
普段の電車では当たり前のことでも、モノレールでは特別なことなのです。
大阪万博50周年で万博モノレール復活!
万博モノレールを移設して再利用する計画もあったようですが、実現しなかったようです。
ところが、今でも1970年と同じ場所にモノレールのレールが・・・、
場所は、万博会場の東側「日本館」や「電気通信館」があったところです。
現在のモノレールは、万博公園を離れ道向かいの旧「エキスポランド」側を通ります。
(万博モノレールはこちら側を通っていました)
このモノレールは、万博閉幕から20年後の1990年(6月)に開業した、
「大阪モノレール」です。
もちろん、万博モノレールと同じ、日本こざ式です。
(ラッピング広告車両、チキンラーメン)
2020年3月からは、「1970年大阪万博50周年記念号」が走行しています。
万博モノレールのカラーリングをラッピングで再現しています。
が、残念ながら、まだ実物を見に行けていません(>_<)
2020年は、大阪モノレール開業30周年の記念の年でもあります。
ホームページでは、記念サイトも設けられていますのでのぞかれてみては。
ということで、こざ式モノレールとしてはアルヴェーグ式東京モノレールのが先輩。
万博モノレールは、東京モノレールの技術を参考にしつつ開発した、日本こざ式のパイオニアとなったのでした。
次回は、アルヴェーグ式でも日本こざ式でもない、ちょっと変わったモノレールのお話です。
大阪万博の交通機関は今回のモノレールで終了です。