「緑の雇用」フォレストワーカー(FW)研修で、チェンソーの構造やメンテナンス方法を学んだ桧山さん。
しかしプロとしてチェンソーを使いこなすためには、さらなる実践と情報取集によるスキルアップが必要です。
今回は桧山さんが手にしているガイドバーについて学ぶことに。
ガイドバーはソーチェーンの回転をガイドする重要なパーツです。
“ただの鉄板やん”と侮ると・・・、
ただの鉄板ではありません!
一見ただの鉄の板にしか見えませんが、バー本体や先端の構造の違いから、
ハードノーズバー(以下ハードノーズ)と
スプロケットノーズバー(以下スプロケ)に分かれます。
(「林業現場人 道具と技」Vol.20より)
ハードノーズの価格は1万円から1万5千円(16インチ)スプロケはその半値ぐらい。
ハードノーズの耐久性は約1年、スプロケは約半年(あくまで目安)
つまりコスパは、五分五分。
林業ではガイドバーは消耗品扱いです。
チーム森では、ソーチェーンやチェーンオイルを含めたトータルコストを考慮した結果、森さんや林さんベテラン勢はスプロケを使用。
しかし新人の桧山さんや杉山さんにはハードノーズを勧めています。
ハードノーズの方が頑丈で扱いやすいからです。
経験の浅い二人はしょっちゅうガイドバーを詰められますが、無理にこじたり引き抜いたりは禁物!
またハードノーズの方がソーチェーンが脱線しにくいから。
というより、スプロケが脱線しやすいというべきかも。
防ぐには、ソーチェーンの回転スピードやガイドバーの位置・角度の微妙なコントロールが必要。
さらにスプロケは、メンテナンスもひと手間必要(グリスアップ)
でも負けず嫌いの桧山さんは・・・、
ビームガイドバー?
実は森さん林さんも最初のころはハードノーズでさえ扱いきれず四苦八苦!
玉切り途中で材が動き出したり、伐倒木のツル切り途中にガイドバーが下敷きになったり・・・。
するとガイドバーがペコッと折れ曲がり何とも無残な状態に。
当時の班長が修復の仕方を教えてくれました。
失敗続きの林さんが考えたことは・・・、
ビームガイドバー⁈
林業人なら“あったらいいなぁ”と一度は思い描くビームチェンソー。
元伐り(伐倒)には不向きですが、枝払い・玉切りには重宝します。
しかもガイドバーが詰められたり曲がったりの心配なし!!
(でも山火事が心配?)
経験を積み、ビームではなくスプロケを使いこなせるようになった二人ですが、油断は禁物!
保険として常に予備のガイドバーを携行しています。
実際の現場でプロがどちらを選択するかは、好みの問題です。
ベテランになると、操作性やセッティング、パフォーマンスの違いにも瞬時に対応できるようになります。
「林業現場人 道具と技」
「フォレストワーカー研修テキスト」を発行した「全国林業改良普及協会」は、林業関係の書籍を多数出版しています。
「道具と技」シリーズもその一つ。
2021年3月にVol.20が出版されました。
今回のイラストの依頼は、前出のガイドバーの構造図です。
自前のスプロケ(16インチ)をモデルとして使用。
ライターさんの考えた構図に合わせてイラストを完成させます。
記事ではより詳しくガイドバーに関する解説がなされ、自分に合ったバータイプを見つけられます。
もちろん、ガイドバー以外のチェンソーの取り扱いやメンテナンスのノウハウも紹介されています。
実際に現場作業を行うプロのノウハウは、単なる機械うんちくよりはるかに説得力があります。
チェンソーの整備状態は自らや仲間の安全をも左右するため、みな真剣なのです!