今年の工場見学では“空飛ぶ新幹線”の代わりに、美顔を「ゴシゴシ」研がれて気持ち良さげ?な新幹線を見ることができました。
工場直行貸し切り新幹線の車内で出されたクイズ、
問題.新幹線はどのくらいのスパンで車体の塗り替えをするでしょうか?
1.1年
2.3年
3.塗り替えはしない
答え.2の3年(もっと短い場合もあり)
自動車で言えば、全塗ですね。もちろん塗り替え作業は、浜松工場で行われます。
新幹線の塗装
工場の一画に「なるほどガイド」というコーナーがあり、新幹線の塗装の塗り重ね具合の説明が。
アルミボディの上に、4層膜、サフェーサー・パテ・プライマー・上塗り白/青です。
後からこの画像を見て気付いたのですが、プライマーとサフェーサーの文字が逆ではないか?自分は元建築塗装工ですが、板金塗装とは畑違いです、のでわたしの間違いかもしれませんが(細かいことは気にしないでおきましょう)
見えるのは上塗りの白や青色だけですが、下塗り・下地処理には大切な役割があります。
プライマー:アルミに塗膜を密着させるプライマー、これがないと塗装が剥げてきます(画像ではサフェーサー)
パテ:表面の凹凸や歪を平滑にするパテ(アルミの未塗装部分に見える筋をパテ埋め乾燥後、平滑になるよう研磨する)
サフェーサー:きめの細かい表面を作りつつ、上塗りの留まりを良くする(画像ではプライマー)
サフェーサー以下の工程で手抜きをすると、上塗りをいくら丁寧に行っても、艶が出ない、一目で凹凸が分かる、すぐに剥離を起す、など良い仕上がりにはなりません。
化粧で例えると化粧下地、シミ隠しやファンデーションと同じ、女性なら下地処理の大切さをご理解いただけるのでは?
重要な「研ぎ」の工程
「研ぎ」の大切さは、板金塗装も建築塗装も共通。ただ目的に多少の違いはあります。
新幹線の場合は、塗料の密着性を高めるために行います。
before
after
N700Aのデカールも消えてしまっています。
傷んだ表面塗装も部分的にはがされ、パテ補修の跡も。
中間車両の側面(平面部)の「研ぎ」は、これまでも機械化されていたようですが、今回、新たに導入されたのが「先頭車研ぎロボット」です。
気持ちよさそうなN700A先頭車。
複雑な形状ゆえ機械では無理とされた先頭車の研ぎ。これまでは2人がかり、約200分の時間をかけて作業していたそうです。
現在は、ロボットの導入により40分に時間短縮されたそうです。ただし、ロボットは6台。
人が6人がかりで作業すれば、・・・約67分、やはりロボットの勝ち、でも人も健闘。
しかし、先頭車の狭いスペースで6人作業は無理、何より危険で負担の大きい作業なので機械化の意義は大きい。塗装工時代いやと言うほど「研ぎ」を行ってきたので心からそう思います。
優秀な「研ぎ」ロボットは、予想に反して実に滑らか、ゆっくり丁寧な動作を繰り返していました。
作業の様子はモニターされ、精度管理されている。
この後、塗装を施されピカピカの新幹線に生まれ変わります。
どこかでN700A G20編成先頭車を見かけたなら、研ぎロボットに気持ちよく研磨されている様子を思い浮かべて下さい。