たかがヘルメットと侮ることなかれ

工場、工事現場、路上など、いたるところで目にするヘルメット。
大切な頭部(命)を守る保護具です。
にもかかわらず、高温多湿の日本では、
「髪の毛がペチャンコになる」とか、
「ハゲル」とか、
「暑い」などと、文句を言われ嫌われるヘルメット。
“安全第一”と考え、髪の毛はあきらめ、暑さには慣れるしかない・・・、

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原付バイク用ヘルメット


今では、ヘルメット着用が当たり前(義務化)となっている原付バイクですが、そうなったのは1986年(昭和61年)から。

ホンダ・スーパーカブが誕生した1958年(昭和33年)ごろは、

こんな感じ。いわゆる「ノーヘル」が当たり前。
それから約20年後の1979年(昭和54年)ヤマハ・パッソルが発売されたころになると、

まだヘルメット義務化前でしたが、ママたちの間では「ママヘル」がほぼ定着。
バイクメーカーが、販売店を通じてヘルメット着用を推進した結果でしょうね。
初期のママヘルは、バイクの性能が低く抑えられていたせいか、シールドレス・タイプ。
ママたち御用達のオプション、ウインドシールドの存在が大きかったかも。
80年代に入ると、スポーツスクーターの登場により出力・速度ともにアップ、ヘルメットもシールド・タイプに。

スポーツスクーターは、当時の若者にも受け大ヒット。
1983年(昭和58年)発売の、ヤマハ・ジョグは憧れのバイク。
しかし、ヘルメットを着用する若者は・・・、

ほとんどいなかった。
ヘルメットを被ったら、流行りの「聖子ちゃんカット」が台無し!
ヤンキーの「リーゼント」も台無し!

事故しなければそれでもよかったのですが・・・、
残念ながら、若者による事故増加もあり、前記の通り1986年(昭和61年)ついに原付バイクもヘルメット着用が義務化。
定着するまで、いくらか時間がかかったものの、今では当たり前となったヘルメット着用。
着用が習慣化すると、逆にノーヘル状態では怖くて走れない。
特に、自動車に乗るようになり、ドライバーの目線で原付バイカーを見るようになると痛感します。
お互いに気を付け、安全運転を心がけましょう。

同じく、今のスクーターでは標準となっている“ある装備”が、この時期(80年代半ば)に誕生します。

それに関しては、⇒ヤマハ・ボクスン&チャンプCXで

 

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林業用ヘルメット


林業ネタとなると登場するのが、フォレストリーダーの森さんとワーカーの林さんのお二人。

林業用ヘルメットは、一目瞭然(目立ってなんぼ)

種類としては、「飛来・落下物用ヘルメット」
ヘルメットカラーは、林内で目立つ蛍光オレンジ。

伐倒作業では、周囲の安全確認が最も重要、でも・・・。
伐倒の合図を送りつつ、伐倒方向に人がいないことを確認する、では不十分なのです。
隣で作業している仲間が、どこにいるかを把握することが必要。
目視できなければ、イヤマフを外して耳でチェンソーのエンジン音を確認。
見通しの悪い林内では、
仲間が危険区域にいないことではなく
安全区域にいることを確認します。
互いにそのような意識をもって仕事をしていると、常に“目が合い”ます。

アイコンタクトで、お互いに“何をしたいのか”が分かるようになります。
一方がケガをして動けなくなった時でも、常に安全確認を行っていれば、いち早く相手の異常に気付くことができます。

 「助かったのは森ちゃんのおかげ」
「自然は好きだけど、人には無関心」という人には、向かない職場です。

林業は危険な職場でありながら、残念ながら安全意識が低く「ノーヘル」が横行していました。
年配者が多いこともあり、昔からの習慣が抜けなかったようです。
さらに、夏場(高温多湿)の保護具着用は、熱中症のリスクを高める、という事情もあります。
担い手不足解消のための、I・Uターンの採用に伴い、安全装備の着用に加え、リスクマネジメントの導入や安全教育などソフト面でも改善が進められ、「ノーヘル」は減少しています。

職場に適したヘルメット


鉄道関係


一般的な「高所作業用/飛来・落下物用」に加え、「電気作業用」ではないかと思います。
機械部品の間をのぞき込むのに適した、つば無しヘルメット


(新幹線浜松工場にて)

建設関係


「高所作業用/飛来・落下物用」ヘルメット。
落下物から顔面を保護するため、つば付きタイプが多い。
上方視界を確保するため、つばが透明になっているものもあります。
上向き作業の多い林業でも使用しますが、フェイスガード使用時は、つばを透明タイプにしても意味がなかった・・・、後で気付いた(>_<)

このヘルメットの採用には、きっかけとなるちょっとした事故がありました。

ヘルメットの対応年数


工業用ヘルメットの対応年数については、ハスクバーナのような ABS製のもので3年以内、FRP製で5年以内という基準があるようです。
以前、伐倒作業中に上から落ちてきたスギ枝がヘルメットを貫通する、というショッキングな事故がありました(幸い作業者は軽傷)
そのヘルメットはFRP製で、本人曰く「10年ほど使用していた」そうです。見た目では分からない劣化が進んでいたようです。
せっかく着用していても、いざという時役に立たないようでは(>_<)
扱いには丁寧さが必要ですが、いつまでも大切に使い続けるものではないようです。

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投稿者: natsukopapa2017

動物と昭和と軽キャン好きのイラストレーターです。 林業(フォレストマネージャー)をしていたためその関係のお仕事が中心です。