前回、スタックした大型トラックをレスキューした林業機械(13トンクラス)ですが、
(森さんたちとくつろぐマシンは5トンクラスのコベルコ君)
「こっち(重機)のレスキューは大変なことになるから・・・ひーちゃん気を付けてね」と森さん。
「最悪・・・死亡事故につながるからね」と林さんも。
「キャタでもスタックするんですか?」とひーちゃん。
「それもあるけど・・・厄介なのはキャタの脱落よ!」
キャタ脱落レスキューその1
スイングヤーダを林道(舗装)に据えて架線集材作業中、素材業者の8トントラックが通過。
道をあけるため、HBA/HBBラインを送り出しながらバック・・・バック・・・脱キャタ!
直径20㎝ほどの立木に寄りかかった状態で谷側に傾き走行不能に(>_<)
「谷底まで高低差30mくらいあったよね」
「あれはパニくったよね」
今だから笑い話で語れる森さんと林さん。
問題は、立木によりかかっているため、キャビンの旋回ができないこと。
自分たちで脱出できないと判断し、師匠に助けを求めました。
師匠が乗り込みブーム上下操作をしたとたん「バキッ」とキャビン右側のガラスが粉々に!
立木によりかかったキャビンが、ブーム側に押されていたからです。
キャビンから出て、立木とスイングヤーダを眺める師匠。
「チェンソー貸して」
「まさか・・・」
そう・・・、スイングの様子を確認しながら立木を伐り始めたのです!
立木の太さ・しなりからスイングの重心を判断した師匠、立木を切り倒してもスイングは持ちこたえると見極めたご様子。
師匠の読みは当たり、立木が谷側に倒れてもスイングは微動だにせず安定(結構傾いてますが)
ここまでくるとあとは簡単、キャビンを谷側に旋回させブーム・アーム・旋回・キャタの操作で無事脱出です。
キャタ脱落レスキューその2
あれから数か月、今度は作業道で長材を掴んでバック中のグラップルがまたしても脱キャタ。
平地ではあるものの、丘を乗り越えるようにつけられた作業道の頂部で脱キャタ。
今回は立木との接触はなかったものの・・・、
グラップルを突く場所がなく機体を持ち上げられない(>_<)
キャタ操作で脱出を試みるも事態はさらに悪化!
連絡を受け、プロセッサでやってきた師匠が乗り込み操作するも・・・、
「これはアカン!足場を作るしかないな」と。
わずかに持ち上がるキャタの下に、プロセッサで材を送り込んで少しずつ足場を確保。
クルマの脱輪と同じやり方が功を奏して脱出成功!
キャタ脱落レスキューその3
これは経験者から聞いた話ですが・・・、
「排土板とキャタの間に切り株などが挟まるとプロセッサは抜け出れなくなる・・・だからプロセッサに排土板は不要」という話でした。
排土板要不要の話は置いといて・・・、
プロセッサヘッドは“ブラブラ”状態なので、グラップルやバケットのようにヘッドを地面に押し付けて機体を持ち上げられないのです。
裏ワザとして、ブラブラするヘッドを振り子してタイミングよく立木(or切株)を掴む!で自力で抜け出る強者も!
ただし、機種によってはヘッドがぶっ壊れるのでお勧めはできませんが。
初期の高性能林業機械は、ベースマシンが建設機械だったため以外にも?山地での走行が苦手。
ヘッドは重いし、油圧は足りないし、キャタは弱いしで・・・アンバランス気味。
(コベルコ建機さんのマシンだけは、当時からキャタが強い)
現在の林業専用機(見た目は建設系と同じでも中身が違う)の登場はありがたいことです。
最後に、運転は安全第一で!
マシンの性能が上がり、今後は道幅も少し広がるようですが油断は禁物!
以前、FWテキストのイラストで修正の指摘を受けまして、
「安全のためドアを閉めて作業してください」と。
確かに万が一の時、オペの命を守るためには必要なことです。
経験上スイングヤーダでの集材中は、ドアクローズ+シートベルトは無理と思ってましたが、オートチョーカーの導入など別のアプローチでクリアできそうです。
作業効率も上がりますので一石二鳥ですね。
では、本日もご安全に!