オフロード4WDは絶滅危惧種?

ジープと言う車をご存知ですか?最近滅多に見かけなくなりましたが(ギャルも?)、それもそのはず、1998年(平成10年)に300台余りの「最終生産記念車」を最後に生産終了。他のメーカーも、国内向けの本格的なオフロード四駆の生産をしなくなりました。

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四輪駆動車(4WD)にもいろいろありまして


悪路に特化したオフロード四駆、普段使いに適した生活四駆、どっちもこなすオールマイティー四駆について。
林業と四駆の関係に触れながら、最後は「かわいい四駆」をご紹介。

悪路走破用四駆


オフロード車とか、クロカン(クロスカントリー)車と言われるカテゴリー。
道なき道を走るために生まれてきた車その最たる存在が、軍用車。
市販車では、トヨタのランドクルーザーや日産サファリ、三菱パジェロ、スズキジムニーなど。
ジャングルや砂漠を走破することも想定されるので、ごついタイヤにいかついボディー、フロントホイールハブ、H/Lレンジ・パートタイム4WD、デフロックなど、非日常的な車。
電動ウインチや背面タイヤにスコップを装備、スタック(ぬかるみにはまり動けなくなること)に備える車も。

イラストの三菱ジープを舗装路で運転したことがありますが、ディーゼルエンジンの音と振動は別次元。当時自分が乗っていた昭和56年式ジムニー(SJ30)が「まるでクラウン?」と思うぐらいの乗り心地の悪さ。旧型ジムニーの乗り心地も相当悪いのですが・・・。
クーラーもない、CDもパワステもないのに200万円以上の車両価格。でも、欲しいと思わせる不思議な魅力を持つ車です。
時々、ご年配の方が乗られていたりしますが(ガソリン仕様もある)、カッコいいからではなく“好き”だからいつまでも乗り続けられるのでしょう。

悪路が“得意”な生活四駆


有名な話ですが、スバルは東北電力の要請をきっかけに世界で初めて(1972年)乗用車タイプの「スバルレオーネ エステートバン4WD」を作りました。後のレガシーの兄貴分に当たります。
この車の登場で、本格的なクロカン車と乗用車の中間に位置するカテゴリーが誕生しました。

乗用車より最低地上高が高く設計され、オフロード用のタイヤを装備しており、悪路も難なくこなす。
2WD⇔4WD切り替えの必要のないフルタイム(リアルタイム)四駆も登場、より身近になった四駆。
1980年代に入ると、オンロードしか走らない人でもオフロード車を購入。
ハイラックスサーフ(トヨタ)やテラノ(日産)、パジェロ(三菱)など、お洒落なオフロード車が良く売れた。

映画の影響で、注目された4WD車も。

レオーネ(スバル)もレガシーとして生まれ変わり大ヒット。
ワンボックス車でさえオフロードを意識していた、デリカスターワゴン(三菱)とか。
ところが90年代後半、ジープが生産を終了したころには、事情が大きく変化していました

ディーゼルの排ガス規制
オフロード四駆のほとんどが大型車でディーゼルエンジン。
規制によりディーゼルエンジンが消えると、オフロード四駆の人気も一気に低下。

山奥まで道が整備された
キャンプ場やスキー場までの道のりは十分整備され、農業や林業をしない限りオフロード車が性能を発揮する機会はなくなった。

海外に需要のある本格オフロード車以外の車は・・・。

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悪路が“苦手”な生活四駆


雪国など滑りやすい路面を想定した、生活四駆に集約されていきます。
悪路を想定していないので、最低地上高は2WDも4WDも同じ、標準装備タイヤも同じ。
見た目は、乗用車と見分けがつかない、辛うじて「4WD」と表記があるので分かるくらい。
家のスクラム(マツダ・スズキ)は、その表記さえないので見た目では分からない。
一応、パートタイム式4WD。

軽トラでさえ、悪路に不向きなロングホイルベース(前後のタイヤの間隔が長い)に変更(例外はスバル・サンバー。スバル製は消滅しましたが根強い人気、名車です
しかし、農家の意見(苦情?)で、軽トラは全車種ショートホイルベースに戻りました。
でも安全確保のためバンパーの張り出しが長くなり、悪路では真っ先にバンパーが・・・、もげます。
とは言え、山林用としては軽トラがベター。走行性能では、スズキ・ジムニーがベスト。

2tダンプとか4トントラックでさえも生活四駆化。地域によっては材木の運搬に四駆ダンプ・トラックが使用されるため、現在の四駆事情は死活問題です。

解決策の一つとして考案された車両が、

カッコいいですね!
でも、
一般道を走れないので、中間土場で積み替えが必要。
キャタは作業道を荒らしてしまう、など問題も。

750Kg~1トンクラスでは、本格的な四駆機構で悪路に強いマツダ・ボンゴ(バン・トラック)が、がんばっていますが、近い将来無くなる予感?

マツダ・ボンゴについてはこちらでも
たかがボンゴと侮ることなかれ①-ワイドロー
たかがボンゴと侮ることなかれ②-オートフリートップ
たかがボンゴと侮ることなかれ③ー4WD

最終的には、生活四駆に合わせた勾配に「作業道」の設計を変更するしかないのかもしれません。

生活四駆では厳しい「作業道」
我々が普段作業する道は、「林道」ではなく「作業道」、その違いは。

林道の一例
10トントラックも通行可能、奥に見えるのはコンマ45の重機(自重13トン前後、幅2.5m)

道幅も広く勾配も緩やか、砕石が敷かれ路面も安定。生活四駆で十分。

作業道の一例
道幅2.5m、勾配は20%ぐらい? 写っている重機はコンマ25(自重8トン前後、幅2.3m)

軽自動車でもカーブは曲がれない、スイッチバック。砕石はなし。
路面が乾いているときならまだしも、雨でぬかるむと生活四駆では厳しいのです。
木材の搬出は、トラックではなくフォワーダーという特殊な車両(クローラータイプ)を使用します。そのお値段、3トン積みで800万円!だったかな?
フォワーダーには、自衛隊仕様(物資輸送用)もあります。東日本大震災で必要になった自衛隊への納入を優先し、林業への納入が遅れた時期がありました。

生活四駆の良いところ
フルタイム4WDは機械操作が苦手な女性でも普通に乗れる。
パートタイムでもボタン一つで切り替えが可能。切り替えのタイミングだけ注意が必要。
乗り心地が良い(2WDに比べ、多少騒音が大きく燃費が悪い程度)
ホイルベースが長いと、高速走行での直進安定性が良い。

オールマイティー四駆(SUV)


乗用車感覚でありながら、オフロードでもかなり高い走破性を発揮するSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)
ランドクルーザー/FJクルーザー(トヨタ)、フォレスター(スバル)、エクストレイル(日産)、エスクード(スズキ)など。
高性能であるが故、高価格。ビジネス用として使えるのは、省庁や大企業ぐらい。作業道を走るには車体が大きすぎ。

スポーツ四駆


早く走るための四駆、ラリーカーなど。ツーリングカータイプは車高が低く悪路走破力はゼロ。

かわいい四駆?


1995年前後、ホンダが販売していたシビック・シャトル4WDの別名が「ビーグル」でしたね。
言われてみれば“ビーグルなっちゃん”は、四足駆動

自動車メーカーさんには、この先も林業対応のオフロード4WDを造り続けていただきたいものです。

追記
トヨタは、人気低迷のためFJクルーザーの国内向け生産を2018年1月末に終了すると発表(2017年9月)
海外向けの生産は続けるそうです。
ピックアップトラック、ハイラックスがタイで製造したものを輸入する形で復活するそうです。
一つ消えて、一つ復活、プラマイゼロですね。

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