ペットの毛が生え変わる季節になり、フル稼働の掃除機たち。夏子さんは平気でしたが、ネコたちは掃除機が大嫌い、逃げまどいます。
家電の中でも、特に大きな進化を遂げた掃除機。その国産機誕生は1931年(昭和6年)とのこと。東芝のCMで知りました。当時の掃除機は庶民の手の届かない高級品だったようです。そのスタイルも縦型(アップライト式)で、畳や板の間よりはカーペット向きであることからもそのことがうかがえます。掃除機が一般に普及するのは、昭和30年代になってからです。
ほうき、はたき
掃除機が登場するまで掃除の主役は、ほうきとはたき。ほうきは、今でも活躍していますが、はたきは滅多に見なくなりました(昭和の40年代まではどこの家庭にもあった)
掃除の基本は、上から下へ(ただし、洗剤や漂白剤塗布は下から上が基本)ですが、はたきを使わなくなったせいか、我が家だけでなく、訪ねる店舗なども照明器具にほこりが結構溜まっていることが・・・。はたきは溜まったほこりを落とすより、ほこりを溜めないようこまめに“はたく”のが本来の使い方なのでしょう。
トタン(ブリキ)バケツ
拭き掃きが昭和の掃除。水ぶきには欠かせないバケツ。昭和50年代後半に入っても、学校で掃除バケツと言えば丈夫なトタン製。用途外で蹴られ叩かれても大丈夫。廊下に立たされ両手に下げるのが、水の入ったトタンバケツ(過去の話です)
モデルは渡辺金属工業(株)のオバケツ。大正12年から今日に至るまで、職人さんが手作業で作ってます。
我が家にも一つあります。バケツとして使用してこそ、その本領が発揮されるのですが、今は収納ケースとして使用しています。
掃除機1-床移動型(昭和30年代~)
子供時代に最初に目にした掃除機はこのスタイルでした。当時の西洋ドラマで登場した掃除機の多くはアップライト式でしたが、日本はこのタイプ。
イラストのモデルは、国産1号機を製造した東芝製。デザインより機能性を重視した結果、なるべくしてなったという筒形。でも、ボディーカラーがかっこ良く、後のガンダムやホワイトベースと略同じ配色です。ボディーは金属製で今と比べると“かなり重い”
掃除機2-床移動型(昭和40年代~)
鉄製からプラスチック製に素材が代わり、デザインも筒形から脱却して見た目もかっこ良い。集めたゴミを衛生的に処理できるダストパック式を採用。前後が“パカッ”と二つに分離します。
モデルは、ナショナル(現パナソニック)の隼。
掃除機3-床移動型(昭和50年代~)
筒形の流れを受けた前後に長い形から、縦方向に延びたボディーへと変わっていきます。小回りが利き、狭いところでも取り扱いがし易くなりました。持ちやすくなったので、掃除機本体をホース伝いに引きずるのではなく、手さげカバンのように下げながら使えます。
モデルは、ナショナル青いチリプル。
掃除機4-床移動型(昭和40年代~)
年代的には、掃除機1と2の間の存在。個人的に一番好きなカタチ、ナショナル製。1965年(昭和40年)のグッドデザイン賞受賞。この賞こんなに昔からあったとは知りませんでした。初めてプラスチックでボディーを成形したためデザイン性が向上したわけですが、その変化が凄すぎます。と思ったら、インターナショナル工業デザインという、その名の通り工業デザイン専門の会社がデザインを担当していました。今売り出しても売れるような気がするのですが。
掃除機5-円筒床移動型(昭和30年代~)
家庭用としては少数派の円筒ボディー、わたしはバケツ型と呼んでいます。業務用、店舗用掃除機の主流です。理由は、ゴミ容量が大きいからではないかと。モデルは日立製ですが、今でも業務用としてバケツ型を製造しています。
このタイプは形式上、乾湿両用式にも採用されます。平成に入って間もなくの頃、病院清掃の仕事で使用する乾湿両用掃除機を購入。ネット通販もまだない時代、新聞広告で無名の会社ながら、9800円(安すぎ!)とあったので恐る恐る注文、届いた箱には、なぜか、“バキュームRYŌKO”と表記がありました(だれ?)
このRYŌKOは、ある理由ですぐに戦線を離脱しました。
その理由とは、“とてつもなくうるさい”(グォ~、病院中響き渡る轟音!)
特に業務用機材は、値段の安さではなく総合的な性能で選ばなければ失敗します。
掃除機6-手動掃除機(昭和30年代~)
フクバ(福場)ホーキィという、前後に転がして使用する手動掃除機(昭和38年)。中心部に回転ブラシが2本あって、前後のダストポケットにゴミをかき入れます。電気の来ない場所や大きな音を出せない環境で重宝します(見習え!バキュームRYŌKO)
ゴミ捨ては、上部のボタン2つを押すと下面のフタが開いてゴミが落ちます。ただ回転ブラシに絡みついた糸くずや髪の毛を取るのが厄介です(専用の櫛形ブラシが付属していました)
残念ながら、現在フクバホーキィは製造されていないようです。しかし、同じ構造の商品を山崎産業が製造しています。
ブラシ(昭和30年代~)
学生時代にお世話になったエチケットブラシ。エチケットブラシ製品は昭和34年から日本シールが発売しています(登録商標)それなりに身だしなみにこだわった時期もあり、当時の必須アイテムでした。
なぜここに登場するのかというと、犬猫がいるご家庭にはあるのでは?
ぱくぱくシリーズ。
ぱくぱくシリーズのルーツは、青春時代のあのエチケットブラシなのです。布団やカーペットに着いたペットの抜け毛は、これがないと取り切れません。
粘着式カーペットクリーナー(昭和58年~)
これもペットのいる家では必需品、最初に作ったのはニトムズ。後にコロコロという名前で商標登録を行います。「コロコロどこ?」で略通じます。発売当時から見た目は大きく変わりませんが、初代の柄とテープ受けは木製だったそうです(覚えていない)
現在は、プラスチック製ですが、もっと進化しているのは粘着テープの方で、もはやカーペットクリーナーではなく、万能クリーナーになりました。
最近少なくなったビビット系カラーとケース一体型が気に入っています(アズマ製)粘着テープはニトムズ製。
化学雑巾(昭和45年~)
拭くだけでツヤが出ると一時はまった使い捨て化学雑巾。モデルは金鳥サッサ。昭和という時代は“光ってなんぼ”の時代、その証拠に車も家電もメッキパーツがやたら多いのです。やがて、ピカピカの時代は終わり、サッサの出番は減りましたが・・・。
掃除機のその後
紙パック式になったり、先端吸い口に回転ブラシが付いたり、吸引力を調整出来たり、と便利な機能が追加されていきます。最近では吸引能力を追及したサイクロン方式やロボット掃除機が人気です。独自の方向性で、ユーザーの高齢化を視野に入れた、軽量コンパクトな掃除機もあります。
我が家の掃除機たち
NEC(1998年製)とSANYO(2000年製)、どっちももう掃除機は製造していません。平成生まれで昭和のような華はありませんが、中身は昭和そのものオールドタイプです。故障知らず、Simple is the bestです。
平成になる頃から現在のような“ずんぐりむっくり”低重心ボディーに変化していきました。それでもSANYOくんは、ちょっとバランスが悪く、すぐにひっくり返ってしまいます。すると、自重でボタンが押されコードが巻き取られてしまいます。これも愛嬌です。
NECくんには、夏子さんの生きた証が残っています。ネコと違い掃除機が来てもどこうとしない夏子さん、しつこく周りをつつくと、しまいには怒って吸い口に嚙みついてきます(本気ではありませんが)
そのことを根に持ってかどうかは分りませんが、
ホースの根っこをかじってました。
もう一台は充電式ハンディー掃除機。
なかなか便利です。畳や板の間だけならこれ一台でもOK?と思うくらいです。電動工具で有名なマキタ製で、14.4Vと18Vの2種類あります。更にカプセル集塵式(スイッチはトリガー式)と紙パック式(スイッチはワンタッチ式)と、好みに合わせて選べます。個人的は18V、ワンタッチスイッチがお勧めです。20分ほどで充電完了、パワーの強弱を使い分ければ、30分は連続使用できます。
最後に
昭和に活躍した掃除機を少しだけ振り返ってみました。基本性能も付加機能も平成に劣る昭和の掃除機ですが、デザインや存在感では負けてないのでは?
古い機種を使い続けることは、発火の危険もあるのでお勧めできませんが、時代の雰囲気と共に記憶に留めておきたいものです。
昭和の掃除機②はこちらで⇒昭和の掃除機②ーナショナル・パナソニック