安全運転のため、速度に応じた車間距離が必要なように、
安全な伐倒には、樹高に応じた作業者間距離(立ち入り禁止区域)が必要。
安全距離(区域)をキープしてる限り、追突や激突は避けられるはずですが・・・、
「本日の安全目標は・・・立ち入り禁止区域に入らない入らせないヨシ!」
今日の危険予知ミーテイングは、ひーちゃんの仕切りで行われましたが、
「ひーちゃん・・・安全目標もう少し踏み込もうか」とリーダーの森さん。
「車間距離と一緒で・・・立ち入り禁止区域を確保すること自体が難しいのよね」
同じ方向に走ってるクルマやバイクでさえ、車間が詰まったり詰められたりは避けられない。
まして、各自が左右上下に移動しながら、しかも見通しの悪い林内(尾根返し・窪地・かん木等)で、互いの安全区域を確保するのは至難の業。
他人伐倒による激突事故は、
立ち入り禁止区域に人がいることに気づかず伐倒してしまった場合と、
気づいていたが問題ないと判断して伐倒、そして失敗した場合に起きてしまう。
「樹高の4倍に立ち入り禁止区域を広げたらどうですか」とひーちゃん。
「じゃあ・・・最初の1時間はそれでいってみよう!」
1時間後・・・
「4倍は・・・ダメです」とひーちゃん。
平成27年(2015年)10月までは、
(林災防 安全の基本シリーズ①より)
樹高の1.5倍でも事故が起きるため2倍に範囲が広がったわけですが、これが限界ではないかと。
それ以上距離をあけると、互いの連携が取れなくなりかえってキケン!
「前にも言ったけど・・・大切なことは目と耳を使って常にお互いが連携すること」と森さん。
「そうしてる者同士はしょっちゅう目が合うのよ」と林さん。
何らかの原因で、お互いの危険区域が重なった場合でも、相手の位置が分かれば安全に対応できます。
(見通しの悪い林内での安全確認は“立ち入り禁止区域にいない”ではなく“安全区域にいる”ことを確認)
目が合った時に、伐倒木を示してから伐倒方向を指さすだけでこちらの意図が伝わります。
意図を理解した側は、相手が気兼ねなく伐倒作業ができるよう明確に行動します(お互いに安心)
こちらの意図を伝えても、変わらず背中を向けて作業を続ける人もいるので要注意!
逆のケースでは、いきなり背後から伐り込んでくる、倒れてから合図がくるので要注意!(免罪符感覚や「どけ」的な一方的合図はキケン!)
この手のタイプとは樹高の20倍ぐらい離れた方が無難です。
2時間後・・・
「ちょっとの間チェンソーを止めると・・・スギちゃんすぐこっちを見るんだね」とひーちゃん。
「チェンソーの音が聞こえないときは・・・何かトラブルが起きたか・・・自分がひーちゃんの仕事を邪魔してるか・・・と考えるからよ」とスギちゃん。
「チェンソーの音だけで誰がどこにいるか(距離感)分かるようになるよ」とも。
そのうちスマート林業とかで「アイサイト(スバル)」みたいなシステムを搭載したヘルメット&バイザーが登場するかも。
「仲間の現在位置やバイタルがバイザーに表示され・・・接近するとアラームで警告するとかね」
「カッコいいすっね!」
では第2のケース、当てない自信があったのに失敗を防ぐには・・・。
本日の作業終了後・・・・
「周りの状況を気にしすぎて・・・なんか伐りにくくて」とひーちゃん。
「みんなのスピードにまだついていけてないから・・・上手く車間距離が取れなくて苦労するのよ」
「でもその“ためらい”が最大の安全装置よ」と森さん。
「互いの安全を最優先し・・・危険なら無理しない・・・その木は伐らなければいいのよ」
「他に伐る木はいくらでもあるでしょ」とひーちゃんにアドバイス!(^^)!
これは狙った方向に伐る自信があるなしの問題ではないので、森さんたちベテランも同じです。
「相手がいなくなってから伐ればいい」
近接作業が避けられない場合は、いっそのこと2人くっついて作業。
ひとりが伐倒補助でロープを引くなど共同で作業すれば安全!ビクビクしながら2人で伐るより効率的!
現場の作業範囲が狭まる、最終日などは要注意!
何人かを次の現場に先行させるなどして、人口?密度を減らすなどの工夫も。
5年後・・・
たいへん立派になられて・・・。
では、本日もご安全に!