大井川鐵道と言えば、蒸気機関車(大井川本線)とアプト式(井川線)で有名な鉄道会社。
アプト式については以前取り上げましたが、今回は日本で唯一、蒸気機関車(SL)をほぼ毎日営業運転している大井川本線の魅力をご紹介。
まずは、軽く蒸気機関車について・・・、
目次
なっちゃんでも分かるSL講座
アルファベットは動輪(車輪)の数
石炭を燃やして水蒸気を発生させ、その圧力で動輪を回転させるSL。
普段乗っている電車と違って、SLの動輪は、
デカい!(新大阪駅・在来線コンコースにて)
小さい方は、0系新幹線の車輪。
この動輪の数により、呼び方が決まります。
3つならA、B、C、4つならA、B、C、Dと。
大井川鐵道のSLはすべて3つ、つまり“C”です。
アルファベットの“C”後に続く数字の
“10”や“11”は形式名、
“8”や“227”は機番、つまり何番目に製造されたかを示す数字。
上は、C10形8号機、
下は、C11形227号機ということになります。
見た目の違いで分かること
もう一つ、見た目で区別できる特徴が、タンク機関車かテンダー機関車の違い。
大井川鐵道のSLは、タンク機関車。
機関車本体に水や石炭を積んで走ります。
水色が水タンク、黄色は石炭庫(大雑把ですが)
タンク機関車は、小回りの利く小型車で、短距離輸送が専門。
一方の、テンダー機関車は、本体とは別にテンダーと呼ばれる炭水車を伴っています。
新大阪駅の動輪は、テンダー機関車C57 155号機のものでした。
たくさんの石炭と水を積載できるので、長距離輸送に向いています。
分かりましたか?夏子さん!
(島根県 旧大社駅にて D51形式774号機が静態保存)
大井川鐵道(大鉄)の現役SLたち
C10 8
大鉄で一番古い機関車であるとともに、C10形唯一の生き残り、最後の1両。
昭和5年(1930年)生まれ、88歳!米寿?
特徴は、デフと呼ばれる除煙板がないため見た目がスッキリしていること。
耳なし夏子さんみたい?
個人的には、大鉄で一番好きな機関車。
C11 227
上のC10形の後輩機関車C11形。
C10形にはない耳(デフ)を装備。
昭和17年の誕生以来、現役を保っているタフな機関車。
しかし、SLの心臓といえるボイラーの不具合により、引退の危機を迎えたことも。
たまたま同形の312号機のボイラーを譲り受けることができ、危機を脱したそうです(大鉄ファンクラブ会報Vol.7より)
312号機の魂と共に走り続ける227号機なのです。
さらに、この227号機は“コスプレ好き?”(させられていると言うべきか・・・)
キャラクター列車企画の際に、コスプレする(させられる)のは、たいていC11形227号機。
ここ数年、人気なのは「きかんしゃトーマス」ですね。
C56 44
海を渡りタイで活躍した後、再び日本に戻って来るという波乱の車生を歩んだ機関車。
日タイ修好120年を記念して「タイ国鉄仕様」(平成19年10月~平成22年8月)で運行されました。
本来装備されている耳(デフ)を外しています。
これは“コスプレ”ではありません!
平成23年1月以降は「日本国鉄」仕様に戻され、再び耳付きに。
C11 190
コスプレ好きの227号機と同形、190号機。
残念ながら、まだお目にかかったことがありません。
大鉄には2度訪れましたが、いずれも190号機のメンテナンスの時期に当たってしまいました。
この機関車は、1,276人のSLもしくは大鉄ファン、1,606万円の募金により復活したそうです(大鉄ファンクラブ会報Vol.18より)
ファンの熱い思いが込められた、特別な機関車です。
それぞれ北は北海道、南は九州やタイで活躍した機関車が、縁あって大鉄で集結。
それぞれ異なる車生を歩んできた彼(彼女?)らが、一味違った列車旅を楽しませてくれます。
もちろん、大鉄の整備士さんのおかげです!(^^)!
SLになくてはならないもの?
現代の機関車と違い、SLには前・後があります。
なので、始発・終着駅には、
SLが方向転換するための、一対の転車台が必要なのです。
千頭駅には転車台があるものの、金谷駅にはなかったため方向転換不可。
そのため、金谷発のSLは前向き走行、
(ちょっとわかりにくいかな?)
千頭発のSLは、方向転換できない(しても意味がない)ので、
後ろ向き走行しながら客車をけん引しています。
各車両の紹介画像でも、客車を後ろから押しているように見えますが、すべてバック走行でけん引している様子を写したものです。
大鉄にあるような小型のタンク機関車は、バック走行が得意だそうです。
しかし、平成23年10月に新金谷駅構内に転車台が完成し、バック走行は終了!
常に前向き走行なので、写真写りは良くなったかも?
SLの始発駅も、金谷駅から転車台のある新金谷駅に変更されました。
今となっては、懐かしいバック走行と金谷発のSL(ちょっと残念)
(金谷駅にて2011年7月撮影)
今回はここまで
大鉄ならではの、個性豊かなSLたち。
設備の変更やキャラクター列車の企画など、その時々で違った表情を見せるSLたち。
まるで“生きもの”のように感じるのは自分だけ?
彼らが元気なうちに、また会いに行ってみたいものです(C11 190にも合わねば)
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