さよならトムーママより

令和の時代の訪れを確認したトムは、兄弟猫ジェリーのもとへと旅立っていきました。
即位礼正殿の儀の翌日、2019年年10月23日の早朝でした。
ジェリーより2年半ほど長い16歳と半年のニャン生でした。

お猫良しなトム


“トムとジェリー”の名の通り、上手に立ち回れるジェリーとは違い、控えめで要領が悪く、いつでも他の猫たちに譲ってしまう“お猫良し”な子でした。

いたずら好きでしたが、空気の読めない子ではありませんでした。
(ジェリーはKYでした)
触ってほしい時でも、人の顔色や状況を見ており、自分から催促するようなことはしませんでした。

グレーのきれいな色で、シッポはちょっと(かなり)曲がっていたけれど、男前で体の大きい猫でした。

ご飯を食べに帰ってくるだけで、夜も出かけては縄張り争いに励んでいました。
よその家にも勝手に入っていき、そこの猫のご飯を食べたりしていました。
でも、今の家に引っ越してきてからは、一度も外に出るとは言わなくなり、完全に家猫になりました。
なぜ?
縄張り争いをしていたのは、トムではなくジェリーの方だったのかもしれません。

トムの時代が到来?


でも、2017年に夏ちゃんがいなくなり、その3か月ほど後にジェリーもいなくなってしまうと、トムの食に対する要求はすごいものになりました。
夏ちゃんと同じように台所に来て、ネコ缶詰を要求するようになりました。
要求が通るまで泣き叫ぶトムは、まるで別猫でした・・・。
ようやく自己主張ができるようになったと確信したのでしょう。
猫も同居する他の犬や猫の様子を観察して学習しているのですね、驚きでした。

ありがとう、トム


晩年、食欲が落ち痩せてしまったために寒かったようで、いつもホカホカマットの上で過ごしていました。
夜になると、私とつーちゃん(13歳メス猫)と一緒に寝る様子を遠目にじっと見ていました。
それでも、声を掛けない限り、自ら布団に入ってくることは決してありませんでした。

トムはオスでしたが、おしゃべりな子でした。
話しかけると必ず反応して話してくれましたし(ニャーニャーと)家に帰ると、いつも鳴いて迎えてくれました。
今の女の子2匹(先のつーちゃんと3歳のニャン)は、愛想なしです(笑)

(左の子がニャン、右がつーちゃん)

亡くなる前日の夜、もう寝たきりのトムの頭をなでながら
「トム、お母さんはもう寝るけどいいかな?」と聞くと、のどを鳴らして喜んでくれました。
翌日早朝、静かに息を引き取りました。

トムはいつも我慢してくれ、無理を言わないので、他の猫たちに気が行ってしまっていて、本当のトムのことをよく分かっていなかったのではないかと感じています。
トムの寛大さに甘えていたのではないかとも・・・。
“オス猫は短命”という我が家のジンクスを破ってくれたトムとジェリー。
兄弟で飼うことは猫にとっても良いことだと教えてくれました。

家族以外には姿を見せない人見知り猫がまだ2匹、健在です。
残された時間を有意義に暮らしたいと思う今日この頃です。

投稿者: natsukopapa2017

動物と昭和と軽キャン好きのイラストレーターです。 林業(フォレストマネージャー)をしていたためその関係のお仕事が中心です。